出版不況の中、Webから雑誌を作る意味
DeNA傘下のペロリがナイロンジャパン(NYLON JAPAN)などを発行するカエルムと協業し、キュレーションプラットフォーム「メリー(MERY)」の初となるファッション誌を3月25日に発売した。
月間ユニークユーザー数は2,000万を超え、若い女性を中心に絶大な支持を得ている「メリー」が、出版不況と呼ばれるなかで雑誌を出版する狙いはどこにあるのか。
以下は、ペロリ代表の中川綾太郎氏とカエルム代表の戸川貴詞氏のインタビュー記事の抜粋である。
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中川氏は以前より雑誌出版に興味があったといい、ソーシャルメディアをはじめとするネットでの取り組みに積極的だったカエルムの戸川氏の協力を得て、雑誌版「メリー」の出版に至ったという。
初刊で掲載される22個のテーマは、これまで蓄積してきた人気記事のデータと編集チームの知見を活用して厳選。
コンテンツはウェブから丸ごと流用するのではなく、連動したコンテンツを揃える。
アプリ内で雑誌の内容を順次公開しているほか、付録のフォトプロップスは事前投票で決定したデザインを採用するなど、発売前から発売後までユーザーが楽しめる仕組みも用意。
中川氏は雑誌の利点として「ヴィジュアルを大きく見せられる」ことを挙げ、誌面では表紙を飾る有村架純をはじめ、高橋愛、AKB48の島崎遥香、中村里砂ら人気タレントを起用した企画を掲載する。
出版不況の煽りを受けて「雑誌からウェブ」への動きが活発だが、ウェブが好調の「メリー」から敢えて雑誌を出版した狙いは、「ウェブと雑誌の両方があれば、よりベストなユーザー体験を提供できる」と中川氏は話す。
戸川氏も「ウェブと雑誌それぞれのユーザーの好みは全く別物なので、ウェブが出てきたから本が売れないというわけではない」と考える。
雑誌は「マスメディアではなく、完全なターゲットメディアという特異性が面白い」(戸川氏)と捉え、読後に「(ウェブやアプリのユーザーが)コミュニティに属している優越感」を味わえるように意識したという。
中川氏は「新規ユーザーを含めメリーを通じて楽しんでもらえる様々なコンテンツを提供していきたい」とし、今後はイベントの開催などメディアの枠を超えた展開も視野に入れる。
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